直近で大きなニュースが出ました。
野村HDが2000億円規模の損失の可能性があるとのことで、野村HDの株価が暴落しました。
今回起こった概要と、実際の投資戦略について解説していきます。
野村HDのリリース
まずは今回、話題になった野村HDのリリースを見てみましょう。
顧客に請求している20億ドル(約2200億円)が返ってこないかもしれませんというリリースです。
野村以外ではクレディ・スイスが損害が出る可能性があると発表しました。
【社債の発行を中止】
社債の発行が決まっていましたが、今回のような財務に大きな影響を与えるような事象が起きたので社債の発行が中止されました。
これを受けて野村HDの株価は16%超の下落をしています。
2200億の損失となると野村HDの規模でもかなりの損失になる。
財務悪化や本当にこれで済むのか?といった
実際に見えていない先行き不透明な部分があり、これだけ売られたと言う事です。
なぜ野村HDがこのような事に?
では一体何が原因で野村HDが社債を取りやめたり、2200億円ものお金が返ってこないような事態になったのでしょうか?
ビル・フアン氏という方が関係しています。
ビル・フアン氏はアルケゴス・キャピタル・マネジメントを運営しています。(簡単に言うとファンドのトップの人です)
今回の件はアルケゴス社のポジションが強制決済されたことに起因しています。
アルケゴス社と野村HD
ビル・フアン氏はデリバティブ(先物、オプション、スワップ)を使ってレバレッジ取引をしていました。
そこに、野村の子会社がレバレッジを提供していた模様です。(他のクレディスイスなども同様)
自分の持っている金額以上の物を運用できるようにしていたわけです。
レバレッジ取引では証拠金維持率が一定レベルを下回る場合、証拠金の追加やポジションの決済を求められます。(マージンコール)
今回はまさにマージンコールの状態になりました。
個人投資家でいうところの追証ですね。しかもその追証が払えない状態。
ビル・フアン氏から回収が難しいので貸倒のような状態になったのです。
野村が貸してたお金が返ってこなそうって事!?
ビル・フアン氏のロングショート戦略
ビル・フアン氏はなぜここまで損失が大きくなってしまったのでしょうか。
フアンさんの戦略は以下の2つだと言われています。
②ロングショート戦略
①のレバレッジをかけた取引は先ほども述べたように、証拠金を元に自分の持っている金額以上の物を運用して大きなリターンを得ようとする戦略です。
②のロングショート戦略でビル・フアン氏は以下のように持っていたそうです。
中国のADRは米国から締め出しを食らっていて風当たりが悪く株価が落ちています。
逆にS&P500やNYダウは新高値を取ったりしています。
つまりロングしていた中国ADRは下がり、ショートしていた米国株は上がっていました。
つまりダブルパンチで負債が増えていったという事です。
おそらくヘッジをしっかりしていればこのような事態にはなっていないと思います。
今回はポジショニングのリスク管理が甘かったのではないかと思います。
ダブルパンチは大変じゃい。。。
市場への影響(ブロック取引)
強制決済が動いた時にビル・フアン氏のファンドが約5兆円の運用資産があったとされています。
この5兆円もの資産を市場で売ると大変な事になってしまうので、ブロック取引という方法が用いられます。
短期的にはこのような荒い値動きになります。
今後の投資戦略への影響
・どこか倒産するの?
・どこかヤバい事に?
今回の件でこのように心配されている方もいると思いますが、そこまでの懸念はしていません。
緩和状態のコロナ禍で、どこかの会社が破綻リスクが高くなった時には政府が動いてくれると考えます。
野村HDに関しては今回の損失2000億に収まれば倒産などの問題はないと思います。
また、NYダウなどでも大きな下落も見られていませんので、
市場全体ではそんなに大きなトピックとしては扱われていません。
なので投資戦略をあまり変える気はありません。
しかし、今回のことでもわかるように金融は隠れて見えにくい部分があります。
今回の5兆円のような規模になると1ヶ所の投資銀行で受ける事はありません。複数の会社が関わっています。
なので最悪の場合、1つのファンドの損失ではなく金融危機に波及する可能性もある事は頭に入れておく必要があると思います。
まとめ
今回の野村HDの2200億の損失の件を簡単にまとめると
という事です。
ビル・フアン氏のリスクの高い取引により大変な損失がでましたね。
レバレッジ取引(信用取引)は初心者の方は使わない方が無難かもしれませんね。
皆様もドキドキするまで買わないようにして投資とちょうどいい距離感で付き合っていきましょう。
今回の記事も動画で見れます。🔻